「ライブハウスでのイベントすることになったけど、タイムテーブルの組み方なんてわかんない!」
という音楽サークルの渉外担当の方。
「こないだ初めてライブハウス行ったけど、バンドとバンドの間の時間なんであんな長いの?退屈だわwww」
というライブハウスビギナーの方。
「ライブハウスからタイムテーブル送られて来たけど、書いてる意味わかんない!」
というバンドマンになったばかりのバンドマン。
GROWLYでは、ありがたいことに初めてライブに出るバンドやアーティストが多く存在します。
大学の音楽サークルの卒業イベントやジョイントコンサート等も多く開催されます。
初めて足を踏み入れた場所で、疑問を持つこと、わからないことがあるのは当然だと思います!
そんな疑問に、ライブハウス経営者である恭平 a.k.a こども社長 (@kyoopees) がお答えします!
タイムテーブルには普段あまり意識してない秘密が隠されてる!?
注:)あくまで、GROWLY基準で書きます。
タイムテーブルとは
この画像の様な物で、1つのライブイベントに1つのタイムテーブルが必ず存在します。
タイムスケジュールという呼び方もありますが、ライブハウスではタイムテーブルという呼び方が主流だと思います。
タイテ、タイム、TTと略すこともあるようです。
タイムテーブルが無いライブイベントは存在しません!(断言)
秘密その①何の為に作るのか
多くの人が同時に一つのことをやるからです。
一つのイベントが開催されるためには、多くの人達が関わります。
出演者、スタッフ、そしてお客さん。
出演するアーティストだけではなく、スタッフもタイムテーブルに従って作業をするので、例えワンマンライブでも、タイムテーブルは必ず必要です。
秘密その②誰が作るのか
そのイベントの主催者が作ります。
ライブハウス主催だったらそのライブハウスの人、アーティストの企画だったらそのアーティストか所属事務所、音楽サークルのホールレンタルだったらその音楽サークルの代表の人か渉外担当の人、、、となります。
ライブハウスによってタイムテーブルの組み方の決まりが違ったりするので、ライブハウスの人と相談しながら作ります。
例えばGROWLYのタイムテーブルの組み方の決まりで言えば、
・22時までに完全に音を止めて下さい。
・入り時間〜リハ、リハ終了〜OPEN、OPEN〜START、終演〜撤収の間はそれぞれ30分以上空けて下さい。
・基本的に入り〜撤収まで8時間で収めて下さい。
等があります。
秘密その③いつ作られるのか
イベントの約1ヶ月〜2週間前には提出すべきだと僕は考えます。
当日や前日ではいけないの?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、このタイムテーブルによってアーティストだけでなく、ライブハウスのスタッフの動き方も変わって来きます。
絶対に1ヶ月前というわけではないですが、ライブハウスの希望としては1ヶ月前か理想、遅くて2週間前には提出してもらえるとすごく助かります。
バイトのシフトの時間とか、授業の開始時間とか、1ヶ月前にわかってると他の予定と調整がしやすいですよね。
目安はそれと同じ感覚です。
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タイムテーブル用語集
タイムテーブルには多くの専門用語が使われてますので解説してみたいと思います。
ほとんどがお客さんには関係無いことですが、こういうことがあることは知っといても損ではないかもしれません。
入り時間とは
アーティストが会場入りする時刻の事を入り時間と呼びます。
アーティストと同じく会場スタッフにも入り時間がありますので、逆に言えば、この時刻より早く入って来てもらうと、困る場合があります。
ライブハウスのスタッフは、ライブハウスに住んでるわけではないので、スタッフにも入り時間があります。
アーティストが入って来ても良いように準備をする時間が必要だからです。
また、やむを得ない理由で入り時間に遅れそうな場合は、会場のスタッフに連絡する事が必要です。
リハとは
一般的に、イベントがオープンする何時間も前に、アーティストは会場入りしてます。
何の為か、それはリハーサルをする為です。
リハーサルを略してリハと呼んだり、サウンドチェックとも呼びます。
オープン後になるべくお客さんにストレスを与えないように、そしてよりベストに近いサウンドをお客さんに聴いてもらう為に、予め本番と同様の音量で、各楽器のバランスチェックを行います。
ここで注意して欲しいことが、リハーサルは練習ではないということです。
音響・照明スタッフとコミュニケーションを取りながら、自分たちの理想のサウンドを作る時間です。
限られた時間で、自分たちの理想をスタッフに伝えることが大事です。
(余談:一部ではスタジオで練習する事も「リハをする」と言いますが、僕個人的には違和感があります。リハと練習は違うやん?)
転換とは
バンドとバンドの間の時間を転換時間、またはセットチェンジと言います。
バンドは、そのバンドごとに使用する機材が違います。
自前で持ってくる機材(ギター本体等)を、前のバンドと入れ替えます。
前のバンドと次のバンドの機材を入れ替えることを転換と呼びます。
ライブハウスから借りる機材(ドラムセットやギターアンプ等)もそのまま使うのではなく、高さや角度を自分が使いやすいように調整したりもします。
そしてリハーサル通りに音が出るか、実際に音をちょっと出してみます。
大抵のイベントではリハーサルをイベントオープン前にやってますので、ここでの音出しは最小限にやるのがスマートです。
転換でお客さんにストレスを与えないことが大切です。
リハーサル同様、転換も"練習"ではないので注意が必要ですね!
転換と転換リハの違い
一方、バンド数が多いイベントや、仕事の都合等でどうしてもリハーサルが行えなかった場合、転換中にサウンドチェックをする場合があります。
転換中リハーサルを略して転換リハと呼ばれます。
一般的に、野外フェスやサーキットイベントは転換リハである場合が多いです。(オープン前に全アーティストのリハをする時間が無いため)
この場合は、転換をした後に、音のバランス等をチェックするため、本番と同じ様な音量を出してみる必要があります。
お客さんに多少のストレスを与えることになるのは仕方ないですが、リハーサルを行った時よりも環境を良くすることは不可能なので、必要最低限で済ます方が好ましいです。
少ない時間でよりベターな環境を作る為に、セット図に予めモニターの要望やスピーカーから出る音(外音)を書き込んで提出することは必須です!
例えば、「ボーカルのモニターにドラムの音を強めにお願いします」とか、「外音(そとおと)はボーカルがはっきり聴こえるようにお願いします」みたいな感じです。
転換と転換リハの大きな違いは、ただの"転換"は音を出す必要がほとんどなく、"転換リハ"は音を出す必要がある、ということですね。
完パケとは
ステージから舞台袖に戻ること、または会場から撤収することを捌(は)けると言います。
元々捌けるという単語は"水捌けが良い"等で使われますが、そこから転じて"いなくなる"の意味で、ライブハウスでは使われます。
"完全に捌ける"を略して"完パケ"と言います。
"完全に撤収する"を略して"完徹(かんてつ)"と言う場合もありますが、"完全に徹夜する"を略して"完徹"とは全く別の意味です。ややこしいですね。
要するに完パケとは、完全に片付けして、ライブハウスから撤収をするということです。
完パケ時間はほとんどのイベントで決められています。
会場の建物や地域の問題だったり、主催者とその会場の契約上の問題だったりもします。
余韻に浸ったり、アーティストと交流したり、物販でグッズを購入する事もライブの醍醐味の一つです。
しかし無制限にその会場を使うことはできないので、スタッフの指示に従う様にしてもらえると嬉しいです。
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まとめ
今回はライブハウスの中でも"タイムテーブル"という超ニッチなテーマについて語ってみました。
「秘密」と呼ぶには大げさですが、もしかしたら知らないこともあったかも知れません。
意外と誰もイチから説明してくれませんからね。
人によっては馴染みがないテーマかもしれませんし、バンドマンにとっては当たり前のことを書いたかもしれません。
今一度タイムテーブルの意味・意義を考えるきっかけになればいいなと思いました。
タイムテーブルについてさらに書いた記事はコチラ。
ライブハウスの素朴な疑問について書いた記事はコチラ。
私がライブハウスを経営している理由はコチラ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!