主催者の意向により、本イベントはタイムテーブル(出演順)非公開となっております
ライブハウスに行ったことある人は、タイムテーブルが公開されず困惑したことは無いでしょうか?
この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )は京都でGROWLYというライブハウスを経営しています。
GROWLYにも、出演順や出演時間の問い合わせのメールや電話が来ることが多いです。
一部のライブハウスやイベントでは、タイムテーブルを公開してるところもありますが、
タイムテーブル非公開のイベントが全国的に多いように思います。
それは一体なぜなのでしょうか?
本当に公開しないほうがいいのでしょうか?
この議題に関しては10年ほど前からずっと議論が続いています。
今回はそんな素朴な疑問に突っ込んでいく記事にしたいと思います!
レディゴォ!
ライブハウスがタイムテーブル(出演順)公開に踏み切れないたった1つの理由
5〜6バンド出演するイベントのタイムテーブルが公開されない場合が多い
一口に「ライブハウス」や「イベント」と言っても様々です。
本記事では主に
・キャパシティ100〜300人くらいの規模のライブハウス
・5〜6バンド出演
・ソールドアウトしない
・オールナイトイベントではない
上記に当てはまるイベントで、タイムテーブル(出演順)が公開されない場合が多いです。
もちろんライブハウスやイベントによっては、公開されてる場合もあります。
タイムテーブルが公開されないイベントはなぜ公開されないのか。
その理由について論じていきます。
タイムテーブルは事前に公開しても良いのではないか派の主張
それでは先に、"タイムテーブルを公開してくれ"派の主張を述べていきます。
最初から最後まで居られないイベントは行くのを諦めざるを得ない
一番の理由はこれだと思います。
出順がわからない場合、最初から最後まで居ることが出来ないイベントに行った時に、自分が見たいバンドが見れない可能性があるため、行くことを諦めるという選択肢を選ぶ人は少なくないでしょう。
17:00スタートで6バンド出演するイベントと仮定しましょう。
何らかの用事で19:00にしかライブハウスに着けない場合。
もし自分の目当てのバンドの出演が1〜2番目だったら、見に行ってもライブを見ることが出来ませんね。
急いで行ったはいいものの、目当てのバンドが終わっている。
そうなると、時間、チケット代、交通費、すべてが無駄になってしまいますよね。
逆パターンもあります。
17:00には着けるけど19:00から用事が入ってる場合。
このときも、自分の目当てのバンドの出番が5〜6バンドだった場合は行ってもライブを見れません。
もしタイムテーブルが公開されていて、自分の目当てのバンドの出演時間前後だけでも行ける場合は、ライブに行くことができますね。
今まで諦めていたライブにも足を運ぶことが出来ます。
出演者やライブハウスに問い合わせるのが面倒or失礼で出来ない
出演者と知り合いの場合は、直接聞くことも可能かも知れません。
しかし、ライブ当日の出演者はリハや楽器の準備で忙しいです。
精神的にもメールや電話の返事をしたくないアーティストもいます。
そんな中、出演者に出順を聞くことは失礼だと思い、気軽に聞くことは難しいでしょう。
実際、出演者も何十人からその問い合わせがあれば対応に困る場合もあります。
そんな時は、ライブハウスに問い合わせたら教えてくれる場合も多いです。
(イベントによっては出演順が完全に非公開の場合もあります。)
しかしそれもわざわざ電話するのは面倒だったり、人によっては勇気が出ずに電話できない場合もありますよね。
そういった理由で、
「タイムテーブルがわからないから、最初から最後までいれるライブ以外に行かない」
という人は一定数いると思います。
ライブハウスがタイムテーブル公開に踏み切れないたった1つの理由
それでは、なぜライブハウスはタイムテーブルを公開しないのでしょうか。
タイムテーブルを公開したほうが、集客は増えるのでしょうか?
公開しないのには様々な理由があると思いますが、
「最初のバンドから最後のバンドまで見て欲しい」
このたった1つの理由に集約できると思います。
最初のバンドから最後のバンドまで見て欲しい
タイムテーブルを公開すると、来場するお客さんにとっては都合の良いことが多いでしょう。
しかし、タイムテーブルを公開するということは、
「アナタの興味のあるバンドはこの時間に出演するので、他のバンドは見なくてもいいですよ」
ということにも繋がってしまいます。
もちろん全員が全員、自分の目当てのバンドの時間だけに来るというわけではありません。
全然知らないバンドも見たい!
好きなバンドが対バンするバンドならもしかしたら自分も好きかもしれない!
そういう気持ちでライブハウスに来てくれる方もたくさんいるのを知っています。
しかしライブハウス(主催者)側からタイムテーブルを公開するということは、主催者側から率先して
「他のバンドは見なくてもいいから自分の好きなバンドの時だけでも来てください」
と捉えられる可能性があります。
例えば17:00スタートで6バンド出演するイベントの場合。
タイムテーブルが公開されていて、自分が見たいバンドが20:00スタートで、その前まで全く名前を聞いたことのないバンドが出演してるとします。
17時に行くことが可能だとしても、「どうせ知らないバンドだし」といってギリギリまでテレビを見てたり、ご飯を食べに行ったりして、20時ギリギリに着くように行く人も少なくないのではないでしょうか。
(もちろん全員とは言いませんよ)
出演者の側も、「自分たちが演奏してた時はガラガラだったのに、出番が終わった途端にお客さんが増えて大盛り上がりしてツラかった」という経験をした人も居るのではないでしょうか。
事実、見たいバンドだけ見ることも簡単に可能になりますよね。
だから主催者はタイムテーブル公開に踏み切れないのです。
"公開しない"と"完全非公開"は違う
今回は"公開"と"完全非公開"の2つに分けて論じましたが、実はその間も存在します。
"Web上で公開はしないけど、問い合わせ来たら公開するよ"スタイルです。
実は、タイムテーブルが公開されてないイベントのほとんどがこのスタイルです。
問い合わせたら答えてくれちゃうんです。
上述した理由で、Web上に公開するには気が引ける。
けど(どうしても時間の都合があって)見に来たいバンドだけでも見に来て欲しい。
その両方を叶えるために、こういうスタイルを取っているライブハウスやイベントは多いです。
しかし、面倒だったり勇気が出なかったりで、お客さん全員が問い合わせをするわけではありません。
問い合わせをしたら答えてくれることを知らない人もいます。
なので、もしタイムテーブルが公開されてないイベントで、目当てのバンドの出演時間次第でいけるという場合は、ライブハウスや主催者に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
(主催者の意向により答えられない場合もありますが)
フェスやサーキットイベントではタイムテーブル公開されている
5〜6バンド出演のライブハウスのイベントとは対象的に、
フェスやサーキットイベントではタイムテーブルが公開される場合が多いです。
1つのイベントで複数会場や複数ステージがあり、1日にで数十バンドが出るイベントです。
この場合は
・出演バンドが多すぎる
・出演時間がかぶる
・見たいバンドの出演場所まで移動するのに時間がかかる
などに理由で、せっかく最初から最後までいたのに好きなバンド見れなかった!
ということを防ぐためです。
そういう理由で、フェスやサーキットではタイムテーブルが公開されています。
逆に1つのライブハウスで5〜6バンド出演のイベントでは、最初から最後まで居さえすれば、すべてのバンドを見ることが出来ますよね。
なので、フェスやサーキットでタイムテーブルが公開されてるからライブハウスのイベントも公開すべき!という理論は繋がりにくいです。
まとめ
というわけで、ライブハウスがタイムテーブル公開に踏み切れない理由をここまで論じてきました。
ちなみに私個人の意見は、「どっちかというと公開支持派」です。
"興味のあるバンド以外は見なくていいよ"という解釈は懸念しつつも、やはり目当てのバンドを見に来やすくはなります。
出演バンドも、"自分たちの集客"という観点では、集客しやすくなると思います。
"興味のあるバンドだけ見れればいいや"という人の数より、"出演時間がわかったから安心してライブ見に行こう"という人の数のほうが多くなる、と思ってます。
しかしやはり、"主催者が「他の対バンを見なくていいよと言うのは何事だ!」"というクレームが来たら、それに耐えることが出来きないと思い、やむを得ず未公開を続けています。笑
実際、タイムテーブルを公開したイベントで、バンドによって会場の来客数が著しく差が出た場合、それは「タイムテーブルを公開したから」という理由が大きいと言えるでしょう。
ライブハウスの企画制作(ブッキング)を務めてるすべての人間が、対バンの組み合わせや出演順に嫌というほど頭を悩ませ、決定を下しています。
転換BGMまでこだわるブッカーだっています。
おそらく全ての主催者が、「最初から最後まで見て欲しい」という気持ちがあります。
その気持ちが、タイムテーブル非公開に繋がっています。
"タイムテーブルを公開したとしても、最初から最後まで見たいと思わせるように主催者が工夫すべき!"
という意見もあり、それも私は理解できます。
しかし、お客さんは"出演バンドを見に来る"ということを忘れてはいけません。
出演バンド関係無しに来るような工夫ができたとするなら、逆にそれはバンドの価値が低いということになりますからね。
(注:イベントにもよります)
興味の少ないバンドの出番でも早めに来たり、遅くまで残れる工夫は、ライブハウスや主催の今後の課題だと思います。
タイムテーブルの公開の是非については、どちらが正しいかわかりませんが、
なぜ公開されないかを知ることにより、わだかまりが少しでも解ければ、3時間かけてこの記事を書いた甲斐があります。
少しでも、ライブハウスが良い場所になりますように。
関連記事です。
今回は主にお客さんに対してでしたが、主催者やバンドマンに向けて、タイムテーブルに関する記事です。
社会人になっても、仕事終わりにライブに来やすくするためには、タイムテーブル公開がいいかもしれません。
ライブハウス側の気持ちの矛盾といえば、爆音問題。僕はライブ用耳栓を推しますし、僕も愛用しています。
続きはWebで。もしくはライブハウスで。