ライブハウスでタバコを吸えなくなる未来は、
そう遠くないかもしれない
2018年7月、改正健康増進法が成立しました。
これにより、2020年4月1日より受動喫煙防止法が施行されます。
この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )はライブハウスを経営しています。
キャパ300以下の小さなライブハウスのほとんどが、飲食店営業許可を取って営業しています。
受動喫煙防止法は飲食店の喫煙を制限する法律です。
全国の飲食店は、受動喫煙対策を講じなければいけません。
全国のライブハウスでは、タバコが吸えなくなるのでしょうか?
タバコが吸えるライブハウスにするためにはどうすべきなのでしょうか?
今回の記事は、喫煙の是非については一旦置きつつ、
受動喫煙防止法がライブハウスに及ぼす影響について考察していきたいと思います!
レディゴォ!
受動喫煙防止法が施行されたらライブハウスは全面禁煙になるのか
2020年4月に受動喫煙防止法が施行
2020年に開催されるオリンピック・パラリンピックに向けて、多くの人が集まる施設では原則として屋内禁煙とする法律です。
違反者には最大50万円の罰則もあります。
海外では屋内完全禁煙の流れは進んでおり、アメリカでは半数以上の州が屋内を全面禁煙とする法律が定められています。
全面禁煙となっている国は、2016年時点で55カ国となり、途上国を含む世界各国に広がっています。
子どもが乗っている自家用車内までもが規制の対象になっている国や州もあるそうです。
オリンピック・パラリンピックで多くの訪日外国人がやってくるので、日本も世界の流れに合わせて屋内禁煙を進めているぞ!と、海外にアピールする狙いもあると思われます。
というわけで、全国の飲食店では原則として屋内禁煙が義務付けられることになりました。
規制の対象になる飲食店の店内で喫煙をさせるためには、「喫煙専用室」や「指定たばこ専用喫煙室」を設置する必要があります。
これらに関しての詳細は割愛しますが、要はたばこを屋内で吸えるようにするためには"たばこを吸う専用の部屋を独立して作らなければいけない"のです。
もともとそのためのスペースがあればいいですが、無い施設は新たに作らなければいけません。
飲食店では例外を認めるが、55%が例外の対象に
(既存特定飲食提供施設の考え方及び範囲について : 厚生労働省のHPより)
既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営
するものについては、直ちに喫煙専用室等の設置を求める
ことが事業継続に影響を与えることが考えられることから、
これに配慮し、一定の猶予措置を講ずる。
とあります。
「既存の飲食店」や「規模の小さい」には、一定の猶予期間が与えられます。
以下の3つの要件をすべて満たす飲食店は、「既存特定飲食提供施設」と区分され、当面の間、お店の全部分または一部を「喫煙可能」とすることができます。
この中では、飲食などの喫煙以外の行為もできます。
1,令和2年4月1日時点で飲食店として営業している
2,個人経営又は中小企業(資本金の額または出資の総額が5,000万円以下)である。
3,客席部分の床面積が100㎡以下である。
これらの条件をすべて満たせば、屋内禁煙が猶予されます。
その条件に当てはまるのは、全国の飲食店の55%という試算が出ています。
ですので、2020年4月から全面禁煙になるのは、半数に満たない飲食店です。
(条件に当てはまる中小飲食店は猶予されるので、いずれは全ての飲食店でで禁煙義務化になると予測されます。)
全国のライブハウスはどうなるのか
この記事を作成中に、ちょうど京都市からGROWLYにもお知らせが届きました。
「お知らせを届けたから、ちゃんと対応しなさいよ」ということでしょうね。。
GROWLYは上記3つの要項をすべて満たします。
ですのでGROWLYは「既存特定飲食提供施設」として申請する権利があります。
しかし問題点もあります。
「既存特定飲食提供施設」として申請すると、「喫煙可能室」に20才未満の人を立ち入らせてはいけないのです。
(従業員も含まれます。)
「既存特定飲食提供施設」として申請した場合、お客さんとしても出演者としても、高校生や家族連れ、10代の若者がライブハウスに出入りできなくなります。
これでは未来の音楽は育ちません。
ですので、GROWLYではどう対策を講じるか、2020年4月1日までに決めなければなりません。
規制の対象になり、全面禁煙のライブハウスも出てくる可能性が
GROWLYはまだ選択の余地があります。
しかも、建物の前に駐車場スペースがあるので、(費用はもちろんかかりますが)喫煙スペースを作ることも可能です。
しかし、選択の余地がないライブハウスも出てくる可能性があります。
単純計算だと、キャパ300〜400人規模のライブハウスは、客席部分の床面積が100㎡を超えてくる可能性があります。
キャパやバースペースが広いライブハウスは全面禁煙、もしくは喫煙所を作らなければいけません。
喫煙所を作るスペースがないライブハウスは、全面禁煙にせざるを得ない可能性があります。
東京のライブハウスは全て全面禁煙に?
なんと、東京都内の飲食店は都条例により、床面積に関係なく規制の対象となるそうです。
やはり東京はオリンピックの中心地なので、規制が厳しいのでしょうか。
床面積に関係なく、ということなのでキャパの小さなライブハウスもすべて規制対象です。
都の試算では、都内の飲食店の84%が喫煙できなくなるそうです。
ライブハウス以外でも、小さな喫茶店などでも喫煙ができなくなります。
(残りの16%は喫煙可能な部屋を作れるということ)
東京では路上喫煙を禁止してるところも多く、ライブハウスに通う喫煙者を苦しめることになりそうです。
いずれは全てのライブハウスも規制対象内に?
前述した通り、2020年4月1日からの受動喫煙対策法における「既存特定飲食提供施設」は猶予措置です。
何年後かはわかりませんが、東京以外の都道府県でも、床面積に関係なく規制の対象となることを前提としていると思われます。
全てのライブハウスが全面禁煙になる未来も、そう遠くはないかもしれません。
まとめ
今回は、受動喫煙防止法が施行されたらライブハウスは全面禁煙になるのかというテーマについてお送りいたしました。
酒・タバコ・ロックという言葉があるように、音楽とタバコは密接な関係を保ってきました。
ライブハウスといえば、タバコの煙が充満し、家に帰った時は服にタバコの匂いが染み付いてました。
それがライブハウスでした。
しかし、時代の変化とともにライブハウスも変化していきます。
その変化に対応できないライブハウスは淘汰されるかもしれません。
古き良きモノを守るために、時代に合わせて変わっていく必要があるのかもしれません。
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私はタバコをやめてもうすぐ2年が経ちますが、辞めてなければこの法律の施行に怯えていたかもしれません。
全面禁煙になったとしても、ライブハウスはカッコいい音楽を守るべきです。
変わっていく法律に対応していかなければなりません。
続きはWebで。もしくは喫煙可能室で。