こども社長の魔法のブログ

(株)ケイピーエス代表取締役角田恭平による音楽・ライブハウス・人生の読み物

チケット代を無料にしたらもっとお客さん来るのに!という発想に潜む3つの危険

もし2000円に設定されているライブハウスのチケット代が無料(ドリンク代のみ)になったら、どんな良い事がありますか?

 

客 : もっとたくさんライブに行ける!普段聴かない音楽も聴く事が出来る!

出演者 : もっとお客さんが入って盛り上がる!色んな人に知ってもらえる!

ライブハウス : たくさん人が入ってうれしい!お勧めしたいバンドを見てもらえる!

 

ライブハウスに行ったり、出演した事ある人の中には、同じ様に考えた事ある人がいるのではないでしょうか。

 

分かる。言いたい事はすごく分かる。

でも本当にライブハウスのチケット代が無料になれば、思った通りになるのでしょうか?

良い事ばかりなのでしょうか?

 

この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )は京都でライブハウスGROWLYを経営しています。

先日、そのGROWLYに出演し始めて間もないバンドマンから、こんな意見を頂きました。

 

チケットのノルマって達成できなかった分を精算の際にバンド側がその分お金を払いますよね。
始めたばかりのバンドは基本的にノルマ達成するのが難しくて、大体のバンドはお金を払って赤字でライブに出ていると思います。

そこで考えたんですが、どうせノルマ達成してない分のお金を払うなら達成してない枚数分、無料でお客さんに来てもらったほうがバンドの宣伝になるのではないか?

バンド側からすればもともと払うお金を使ってお客さんに来てもらうだけなので得に損はありません。むしろ自分のバンドのライブを見てもらえて宣伝になりプラスになると思います。
ライブハウス側としてもガラガラのライブハウスよりも人が入っているライブハウスのほうがいいのではないでしょうか。ライブハウスに普段足を運ばない人が来るきっかけにもなるかと思います。

(LINEより一部抜粋) 

 

正直、すごく嬉しかった。

そのバンドはまだライブ活動を始めて1年経ってないバンドです。

そんな若いバンドがこんな事を考え、そしてまだあまり仲良くなっていないライブハウスオーナーに物怖じせずこんな意見をぶつけて来た事が、すごく嬉しかったです。

日本一ポップでキャッチーなライブハウスオーナーで売っていて良かったです。(黙れ)

 

ということで今回は、この意見をきっかけに、

「元々ライブハウスで設定されている有料のチケット代を無料にした場合」

にどんな危険が潜んでいるのかを検証していきたいと思います。

 

レディゴォ!

 

※今回の記事では、例えば本来2000円のチケット代が設定されているイベントを、チケット代無料にした場合に何が危険かということについて論じていきます。

元々チケット代0円で企画されたイベントのことではありません。

※ライブハウスの収益については一旦無視しています。

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チケット代を無料にしたらもっとお客さん来るのに!という発想に潜む3つの危険

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日本全国のいわゆるライブハウスと呼ばれる場所の多くでは、毎日の様にライブイベントが開催されています。

ほとんどのイベントで、チケット代が設定されています。

駆け出しのバンドが5〜6バンド出演するイベントにももちろんチケット代が設定されています。

地域やライブハウスによって様々ですが、その値段の平均は1500円〜2500円というところでしょうか。

 

私の経営するGROWLYでも、チケット前売り価格の平均は2000円(DRINK代別)です。

 

今回は、

その2000円に設定されたチケット代だとお客さんが呼べないから、チケット代を無料にしてもっとお客さんを入れたら良いじゃないか!

という発想にどんな危険が潜んでいるのか指摘していきたいと思います。

 

対バン(共演者)との不公平が生まれる

ライブハウス主催のイベントでは、対バン(共演者)が組まれる事が多いです。

GROWLYでは、平均5〜6バンドで開催する日が多いです。

(ワンマンでソールドアウトする様なバンドになるまでは)

 

同じ日に出るバンドAは2000円、Bは1000円、Cは0円でチケットを売ってたとしたら、不公平が生まれませんか?

Bから買ったお客さんよりも、Aから買ったお客さんの方が損をしてる様に感じますよね。

というか実際損してますよね。

 

1つのイベントで対バンが組まれているという事は、本来であればどのバンドからチケットを買ってもそのチケットの値段(価値)は同じであるはずです。

 

対バンがいるイベントでは、このような不公平が起きてしまいます。

 

いつ、どうやって無料から有料に戻すのか

「2000円だと高いから来てくれない。だから安く(無料)にしてお客さんを呼びたい。」

気持ちは分かります。

 

しかし、ではいつになったら定価の2000円で売る時が来るのでしょうか?

無料で100人呼べる様になったら?

CDをレーベルからリリースしたら?

対バンが今より豪華になったら?

この判断はとても難しいと思います。

 

人は一旦無料になれてしまうと、お金を払う事に抵抗が出てきます。

最近はスマホゲームが基本料金無料で遊べますよね。

「リリース1年経った(とか、100万DL達成した)から、今月から月500円にします!」

と発表したら、どうなると思いますか?

恐らく、クレームの嵐に包まれる事でしょう。

有料になったらゲームを辞めてしまう人も続出するかもしれませんね。

 

しかしゲームはそもそも、ゲーム機本体が約3万円、ゲームソフトが約5000円くらいするのが一般的でした。

無料でプレイ出来る方がおかしいのです。

 

一旦無料に慣れてしまうと、有料に戻す事がすごく難しくなります。

 

イベントの主催者が決めたチケット代が、そのイベントの正規の値段です。

そのチケット代が設定されているのには意味があるのです。

 

無料だったらお客さんを呼べるという認識の甘さ

「無料だったら誰でも来る」という事は無い、と思って欲しいです。

 

あくまで、

「興味はゼロではないけど、2000円のチケット代を払うまでも無いかな」

という人に対しては効果がある、ということを認識して欲しいです。

 

たとえチケット代が無料だとしても、 そのイベント(出演バンド)に見る価値が無いと思われたらお客さんは来てくれません。

 

無料だったらお客さんを呼べるという訳ではないことを認識して下さい。

(一定数呼びやすくなる、というのは理解出来ます。)

 

無料ライブについて個人的な見解

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有料のチケット代を無料にする事について、危険性を説明して来ましたが、

個人的に無料ライブを全否定してる訳ではありません。

 

活動初期はディスカウントとか無料とかはアリだと思う派

バンド活動を始めた当初は集客が難しいことは重々承知です。

私も通って来ましたし、ほとんどのバンドが通る道だと思います。

なので、ちょっとでもお客さんを呼ぶ為にチケット代をディスカウントしたり、無料にする事は悪だとは思いません。

 

もしそうするのであれば、上記に指摘したような3つの危険性がなるべく無くなる様な形で実行して欲しいです。

 

友達をライブに誘う時は、

「本当は2000円だけど、今回は特別に無料にするから来て!他の人には内緒ね!」

みたいな念押しがあれば良いんじゃないかと思います。

 

無料ライブ全てを否定している訳ではない、むしろ意味のある無料ライブをやろう

今回は「有料のイベントのチケット代を無料にする危険性」を指摘しました。

しかし、企画段階からチケット代が無料であるイベントを企画する事は全く否定しません。

 

冒頭のアイデアを出したバンドには

「それなら自分らでハコ代を出し合って、無料のイベントを1本企画しようぜ!」

と提案しました。

 

対バンに不公平が生まれず、

お客さんにも無料の意図が伝わり、

無料という事を材料にしてお客さんを呼べるのであれば、是非挑戦して欲しいと思ってます。

 

しかしその際も必要経費は出演バンドで負担する必要があります。

どうせ払うくらいなら!という意気込みがあるのであれば、払った上でやることには何の問題も無いと思います。

 

完全に無料のライブはシステム上難しい

無料!無料!と言って来ましたが、「完全無料イベント」を開催するのは難しいです。

それは、ライブハウスにある1ドリンク制度のせいです。

 

1ドリンク制度が何故必要か。

その理由はコチラのエントリー↓

www.kyoopees.net

で説明していますが、入場時の1ドリンク制度を完全に無くすのは法律的に厳しい部分もあります。

ライブハウスを経営していく上での収益的にも難しいです。

 

「無料って聞いて来たのにドリンク代かかるじゃないか!」 

という反論も否めませんので、無料という言葉を使う際には注意が必要です。

 

まとめ

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ライブハウスにたくさん人が来る事は、どこのライブハウスも願っている事だと思います。

出演するバンドももちろんそうです。

でもその為にチケット代をむやみやたらに無料にする事は危険であるという事を今回は論じさせて頂きました。

 

今回はある若いバンドからもらったLINEがきっかけではあるのですが、僕が一番言いたかったのは

たまにTwitterとかで「うちで予約してくれたら安く(無料に)します!」っていうの見かけるけど、

アレ絶対ダメ!!!

ということだったんですよ。笑

それに対して、ダメな理由を書きたかったのが元々の想いです。

 

始めたてのバンドがお客さんを呼べる様になるのは簡単な事ではありません。

0を1にすることの難しさは、どんな有名なバンドでも通って来た道です。

 

チケット代を無料にする事も、一つの集客法として有りだとは思います。

本記事が、チケット代の在り方、ライブハウスへの集客方法等、今一度考え直すきっかけになれば幸いです。

 

 

関連記事です。

チケット代について書いた記事です。

当日券が高いのではなく、前売り券が安いのです。

www.kyoopees.net

 

イギリスのライブハウスは基本無料だから、日本のライブハウスも安くしろ!というデマ?をきっかけに書いた記事です。

個人的にはかなり気に入ってます。

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無料と言えばYouTubeも無料です。

バンドマンはYouTubeというツールを有意義に使うべきだと思います。

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続きはWebで。もしくは現場で。