こども社長の魔法のブログ

(株)ケイピーエス代表取締役角田恭平による音楽・ライブハウス・人生の読み物

ライブハウスは収益を求めるべきか?ノルマは悪か?

ライブハウスは収益を求めたらダメ?

スタッフはボランティアで働くべき?

 

この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )はライブハウスGROWLYや音楽スタジオAntonioを運営しています。

Twitterのメインアカウントの他に、YouTubeとブログ用のアカウント @kyoopeesnet を運営しています。

先日、そちらのアカウントでのツイートが1200以上のRT5000以上のいいねを獲得してバズりました。

こちらのアカウントではYouTubeやブログを広げるために、意識的にツイート数を増やしています。

このツイートもそういった中の一つで、特にバズを狙って書いたとかではありません。

 

いろんな人に読んでいただき、そしてかなり多くの意見やコメントをいただきました。

皆さん本当にありがとうございます。

 

多くの方に見てもらえたので、バズをきっかけに動画を作りました。 

まだまだ説明不十分な部分も多いですが、ライブハウス経営に関わるお金の話をしています。

 

今回の記事ではこのツイートの内容について解説していきます。

 

ライブハウスは収益を求めたらダメなのでしょうか?

もしそうなら、どうやって経営を回していけばいいのでしょうか?

いろんな考察をしながら説明していきます。

 

レディゴォ!

 

ライブハウスは収益を求めるべきか?

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僕の結論としては、「ライブハウスが継続するだけの収益は求めるべき」だと考えています。

ツイッターの140文字でまとめられる内容ではもちろんありません。

かなり長くなりますが、ちゃんと説明するので最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 

まず前提として、直接文句を言われたとか、誹謗中傷されたとかではありません。

何か具体的なことがあってツイートしたわけではないです。

日々僕がライブハウスを経営していく上で、

「利益追及を見せないのが美徳」とされてるのを日々感じてるのでこういうツイートをしてみました。

 

そして、あくまで僕の考え方です。

ライブハウスと一言で言っても業態や規模は様々なので、やり方や考え方が全く違うところもあるので、それはご了承ください。

 

いただいたコメントの中には「ノルマを出演者にかけるライブハウスはレンタルホール屋さんと名乗って欲しい」という意見もありました。

ノルマだけのことを言いたいわけじゃなかったのですが、ノルマについても解説していこうと思います。

 

収益とは

まず言葉の定義をはっきりさせておきましょう。

収益とは、会社に入ってくるお金のことです。

ざっくり、売上と同義といってもいいでしょう。

 

収益からかかる費用を引いたものが利益です。

なので僕が言いたかったのは、「利益追及」ではなく、「かかる分の費用を賄えるくらいの売上」のことです。

 

ガバガバに儲けを求めよう!ではなく、かかる経費を賄えるくらいの売上を求めることは悪なのか?

もちろん悪じゃありませんよね?

ということです。

 

ライブハウスも商売

まず言いたいことは、ライブハウスも商売である、ということです。

ボランティアではありません。

 

全国にあるほとんどのライブハウスが、その店の売上をあてにして経営してます。

売上を上げた中から、スタッフの給料を払ったり、何百万もする機材を買ったり、何十万〜何百万もする家賃を払ってます。

 

音楽業界のブラック体質をなくしたい

ちなみにウチのライブハウスは僕以外に4人の正社員を雇ってます。

一応ライブハウスと、併設してる音楽スタジオ両方を社員4人とアルバイトで回しています。

 

税理士もつけて払うべき税金も全て払っています。

(ちなみに前期の消費税は全部書合わせて200万円越えです。)

 

社員には福利厚生もちゃんとつけています。

福利厚生費用も一ヶ月で数十万円払っています。

 

ライブハウスを低い売上で回す方法論の一つが、ブラック化です。

スタッフの給料を極限まで低くしたり、払うべき税金や社会保険などを払わない

僕がライブハウスで働き始めた頃、これが常識でした。

僕はこれが嫌でした。

なので会社を作った時に、音楽業界内でのホワイト化を目指そうと思いました。

 

当時はライブハウス以外にもそういう会社が蔓延していましたが、

昨今の働き方改革などでだいぶ少なくなってきています。

 

しかしやはり必要経費が増えてくると、求めるべきは収益です。

売上がなければ、払わなければいけないものが払えない。

だから売上の目標なども自然と高くなります。

 

月に支払わなければいけない経費(固定費)が高ければ高いほど難しい

給料だけでなく家賃、他にも厨房機器のリース料や借入金の返済など、イベントが1本も入ってなくても支払わなければいけない費用があります。

これを固定費と呼びます。

 

この固定費が高ければ高いほど、30日の中でより多くのイベント本数を埋めなければいけないです。

そしてその1本あたりの単価を上げなければいけません。

 

だから給料や法定福利費などをきっちり払うほど、そのハードルは上がっていきます。

なのでウチは規模の割にはハードルが高いのかもしれません。

 

高い機材を買う費用をどうやって捻出するか

経営の難しい部分の一つに、高い機材を買う費用をどうやって捻出するかというものがあります。

給料なども含みますが、その月によって金額が変わったり、あったりなかったりする経費のことを変動費と呼びます。

 

例えば、PA(音響担当の技術スタッフ)が操作するPA卓というものがあります。

いわゆるライブハウスと呼ばれるところには全箇所置いてあります。

うちはX32という比較的安価なものを使ってるんですけど、それでも1つ20万円くらいします。

高いものだったら100万円くらいするPA卓を使ってるところもあります。

 

そんなX32も、経営8年目にして3台目です。

修理したりもしますが、修理代も10万円くらいかかります。

修理できないので新品を買うしかない、と判断すれば新品を購入します。

なので2年に1回のペースで20万円以上の出費があります。

 

PA卓以外にも、高い機材はもちろんたくさんあります。

ドラムセットを買い替えたら10万円くらいかかります。

2年前にはステージの照明を全て一新しました。

その時には工事費も含めると100万円以上かかりました。

 

そういうデカい出費をどこから捻出するかと言えば、日々の営業の売上です。

1日の売上で、その日かかった人件費とか電気代さえ払えればOKではないんです。

だから1日の売上でそれ以上の利益を出し、それを何日も続けないと、そういう高い出費に耐えられません。

 

もしライブハウスで収益を求めないなら

このツイートでも言及してますが、

もしライブハウスの売上で経費を賄わなくてもいいとしたら、

・他の事業で儲けまくってる

・遺産を譲り受けた資産家

のどちらかです。

 

もしかしたら、このどちらかのパターンで営業してるライブハウスもあるでしょう。

それは全然いいです。

むしろ羨ましいし、うちの会社もそうしたいです。

 

しかしそのパターン=いいライブハウスってなることは納得できません。

ライブハウス単体で収支を考える=悪となるのが嫌です。

 

そうじゃなくて、ライブハウス単体でお金を回すと言うことを求めてもいいじゃないか、ということを言いたいんです。

 

他の事業の利益をつぎ込むということは

そして実は、他の事業で儲けるっていうのも複雑な事情があります。

 

実際ウチの会社では、ライブハウス以外の系列店があります。

例えばそのうちの一つ、飲食店を経営してるのですが、ここがめちゃくちゃ儲かったとします。

 

儲かったとするなら飲食店のスタッフが頑張ってくれたり、アイデアを出してくれたりしてくれた結果だと思います。

儲かるくらい来客が多かったから、日々の営業も忙しかったことでしょう。

 

でもライブハウスを経営するために、「利益は全部ライブハウスにつぎ込むわー」としたら、飲食店スタッフはどう思うでしょうか?

もちろん、系列店なのである程度の理解はしてくれるかもしれませんが、不満を持つスタッフもいるかもしれませんね。

「なんで自分らが頑張って稼いだ金を別の部署の赤字補填に使わなあかんねん!」って言われてもおかしくありません。

 

そしてさらに言えば、他の事業を成功させるにはそちらにリソース(人材、お金、時間)を割かなければいけません。

ライブハウスの営業を頑張る以上のことをしないといけません。

他の事業で儲けるというのも、簡単な話ではありません。

 

ライブハウスの中の人なら、ライブハウス単体で収益をあげる方法を、まずは考えた方がいいと思います。

 

チケットノルマは必要か

チケットノルマについての意見も多かったので解説しておこうと思います。

 

複数のバンドをライブハウスが集めて開催するいわゆるブッキングライブがあります。

 

チケットノルマとは、その出演バンド1バンドごとに、

「●円のチケットを●枚売ることを約束してください」

そして

「売れなかった場合は、売れなかった分をバンドメンバーで負担してください」

逆に

「超えた場合は、超えた分の●%をチャージバックとして渡します」

という制度です。

 

例えば2000円の10枚のチケットノルマの場合、お客さんを3人しか呼べなかったら、

不足分の2000円×7枚=14,000円支払ってもらいます。

仮にメンバー4人でしたら、一人当たり3500円です。

 

「チケットノルマを収益の柱に考えるようなライブハウスは潰れろ」という過激な意見もありました。

まぁ気持ちもわからなくもないです。

 

ただ、先述したようにライブハウスを経営するのには経費がかかります。

バンドが30分ライブするのもタダじゃないんです。

いろんな経費を支払った上でその30分が成り立ってます。

 

例えば照明を30分使ったから、じゃあ電気代だけ払えばいいやろう?っていうのは論外です。

照明器具を買うのも、取り付けるのもお金がかかりますし、照明の電球も高いです。

1発数万円するものもあります。

 

他には、例えば昨今のライブハウスには当たり前のようにあるドラムセット。

ドラムセット自体も全部で10万円くらいするし、シンバルも1枚2~3万円します。

運が悪ければ、新品のシンバルが一回のライブで割れる場合もあります。

 

もちろんそれ以外もたくさんお金がかかってるのですが、それを30分単位で細かく割り出すのは不可能なんで、一律にチケットノルマがあるわけです。

 

練習スタジオで練習するときは素直にお金払うのに、ライブハウスでは絶対お金払わない!っていう思考は本当に理解できないです。

 

ノルマやホール代は平等にする制度

ノルマに関してはライブハウスそれぞれで考え方が違うと思うので一概には言えませんが、少なくともうちでは、「チケットノルマを回収したくらいでは儲からない」です。

必要な売上の足しになる程度です。

 

お客さんがたくさん入ったイベントでは、その売上の中から使用料を差し引きます。

仮に1日の必要経費が10万円だとしたら、例えば全体で30万円チケット代の売上があって、そのうち10万円もらいますよーって感じです。

その場合は、残りの20万円をバックとして返します。

もちろんこれが理想の形ですが、そうじゃないイベントもあります。

 

もし売上が上がらない日にノルマを取らないとすれば、売上が上がる日にもっと取らなければいけません。

そうなると、今度は逆にお客さんを呼べるバンドから不満が出ますよね。

「こんなにお客さんを入れたのになんで全然バックもらえないの?」って感じで。

 

毎日全てのイベントでお客さんが入る状況にする理想郷

多分批判論者は、「毎日全てのイベントが10万円以上チケットが売れる日にしろよ」って意見だと思います。

まぁ正論ではあるんですが現実的には厳しいです。

もちろんどのライブハウスもそうなればいいかもしれません。

 

しかしどのライブハウスもとは言っても、まず地域格差があります。

やはり都会より地方の方がお客さんは集まりにくいです。

もちろん、地方でもお客さん集まるイベントやライブハウスはあります。

しかし単純に人口の違いがあります。

100人集まるイベントを1ヶ月30本組むとしたら、都会の方が確率高いよ、という意味です。

 

京都で「めっちゃメンツいいのに30人しか入らなかった」ってイベントがあったとします。

「これ大阪だったら80人入るし、東京だったら100人入りますよ」って言われることは本当によくあります。

悔しいけど現実です。

 

だとしたら、京都のライブハウスを閉めて大阪や東京でライブハウスを出す方が、儲けるためにはいいかもしれません。

盛り上がるイベントを組むためには正解かもしれません。

 

でもそれだと意味がないです。

30人しか入らないイベントを、50人、80人、100人って増やしていくためにはどうするかを考えるのが地方のライブハウスの役目の一つだと思っています。

 

そして初心者バンドや、まだ知名度が低いバンドが出れなくなります。

ライブハウスによって考え方はそれぞれあると思いますが、基本的にうちは出たいと言っていただければ出てもらえる環境を作りたいと考えています。

でも例えば日曜しか出れないってバンドやったら、なかなか日曜日で誘える機会は少ないですが、やはり出てもらいたいと考えてます。

 

まとめ

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ということで今回はライブハウスは収益を求めるべきかというテーマでお話をしました。

僕の結論としては、「ライブハウスが継続するだけの収益は求めるべき」だと考えています。

 

なぜか日本では「利益追及を見せないのが美徳」とする文化が根強いです。

そして「収益よりも内容を考えよう」というハッピー論者も多いです。

 

もちろん、楽しいことをして売上が上がるなら、それが一番いいです。

でも楽しいの優先順位が売上を超えてしまう場合があります。

そして周りからもそれを要求されることもあります。

それをなくしたいと思いました。

 

楽しさだけを優先し収益を無視し続けると、いつか必ず潰れます。

 

なので今回に限らず、裏側からの主張や問題提起はこれまでもこれからもやっていこうと思います。

 

良いライブハウスが未来に残り、良い音楽が鳴り続け、若者が夢を見れる場所がずっとあることを、心より願っております。

 

 

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