つい先日、大阪十三ファンダンゴと長崎studio Do!の2つのライブハウスが立て続けに移転を発表しました。
【ファンダンゴから皆さまへ大切なお知らせ】
— Live Bar FANDANGO (@FANDANGO_13) October 1, 2018
詳しくは下記HPをご覧下さい。https://t.co/Wn3U4t84nb
こんにちは。STUDIO DO!店長 楠田です。
— 長崎studioDo! (@Do_nagasaki) October 13, 2018
本日は、皆様にお知らせがあります。
どうかこれからも宜しくお願い致します。 pic.twitter.com/NagzdrXhl9
両ライブハウスとも、30年以上にわたって地元のシーンを支えて来た、その地元を代表するライブハウスです。
この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )も、両方のライブハウスに足を運んだ事もあるし、(勝手ながら)思い入れのあるライブハウスです。
studio Do!の方は理由は明確にはされていませんが、ファンダンゴは「ファンダンゴの母体である駐車場が既に人手に渡っている事が判明」という旨が公式HPに記載されています。
両ライブハウスとも、「移転先は未定」としつつも、現住所での営業終了後、新天地での営業を目指しているそうです。
思い返せば約7年前の2011年8月、僕が店長を務めていたライブハウスWHOOPEE'S(京都・祇園)が閉店したのも、建物の売却が理由でした。
2011年8月25日の営業終了するその日まで、その先どうするかなんて考えていませんでした。
考えることなんてできませんでした。
今回はこの2つのライブハウスの移転(現住所での営業終了)ということをきっかけに、
- ホームのライブハウスが存続する意義
- ライブハウスの移転とは
について記事にしたいと思っています。
ホーム(地元)のライブハウスがあるということ
ほとんどの人が、音楽に興味が出てきた頃には既に地元のライブハウスがあったと思います。
そこにライブハウスがあることに、何の疑問も抱かないでしょう。
ホームのライブハウスがあるメリットを今一度考えてみましょう。
地元から未来の音楽シーンを担うバンドが生まれる
地元、というのは何も地方都市(田舎)を指してる訳ではないです。
都会だったとしても、生まれ育った街、それが地元です。
生まれ育った街に、ライブハウスはありますか?
僕が生まれ育った熊本県玉名市(旧玉名郡)にはライブハウスはありませんでした。
一番近い、熊本市内のライブハウスまで、片道約2時間かかります。
初めてライブハウスに行ったのは高校生の時でしたが、片手で数えられるくらいの回数しか行けませんでした。
高校生の頃にライブに出演するなんて、想像もしませんでした。
中学くらいから楽器は触り始めたのですが、初めてライブハウスのステージに立ったのは、京都に引っ越して来てから。
それが、後に僕が店長を務めることになった、WHOOPEE'Sです。
僕がもし実家で暮らしていたら、ライブハウスに出る事はなかったかもしれません。
地元にライブハウスがあるということが、地元からアーティストを輩出する最低条件というのも間違いではないかもしれません。
地元のアーティストが、ツアーの初日をして、ツアーファイナルをする。
仲の良いバンドを呼んでイベントをする。
それも全て、地元のライブハウスがあるからできることです。
ツアーで回って来ることができる
地元のライブハウスは地元のアーティストの為でもある一方、
地元以外の地方のアーティストの為でもあります。
CDのリリースツアーやワンマンツアー等、
アーティストが自分たちの音楽を広める為にも、理解を深めてもらう為にも、
地元以外のライブハウスにツアーを回る事は必要不可欠です。
その地方にライブハウスがある事はそのアーティストにとってもメリットであるし、
お客さんにとってもメリットです。
逆に、ライブハウスが無い地域にはなかなかツアーで回って来る事は難しいでしょう。
移転は簡単では無い
十三ファンダンゴも長崎studio Do!も、「移転先を探している」ということでした。
現時点では、移転先は発表されてない状況です。
簡単に聴こえるかもしれませんが、移転はとても難しいことです。
元ライブハウスの跡地で無い限りは、ライブハウスをイチから作ることになるからです。
僕が経営するGROWLYも、イチから作りました。
防音工事、音響、照明、トイレやバーカウンター等、、、
はっきり言います。
◯千万円かかりました。
お金の問題だけではありません。
営業の許可申請やスタッフの確保、水道電気の契約や地域住民への挨拶等、、、
今まで当たり前だった事を全て最初からやる労力は計り知れません。
もちろん、ライブハウスは人が創るものだと思います。
あの店長さんがいるから、あのPAさんがいるから、あのスタッフさんがいるから、、
僕もそういう思い入れのある人がいるライブハウスは大好きです。
しかし、ライブハウスは「場所」です。
最寄り駅だって重要だし、広さだって前の場所と変わるかも知れないし、雰囲気をそのまま持っていくのはほぼ不可能だとも言えます。
20代で店長に就任した人も、移転先では40代かも知れません。
以前と"全く一緒"のライブハウスを作り直す事は、きわめて難しいです。
まとめ
もちろん、今回の記事を書くきっかけになった十三ファンダンゴさん、長崎studio Do!さんには、今の住所で最後まで想い出を作る場所で在り続けて欲しいし、
新しい移転先でも、今まで以上に素晴らしい場所になって欲しいです。
ライブハウスは簡単に無くなる。
— 恭平 a.k.a こども社長 (@kyoopees) October 15, 2018
その原因は苦情、経営難、法律、建物の老朽化など様々。
京都もWHOOPEE'Sというライブハウスをなくした経験がある。
外で騒がない、ドリンクを持ち込まない、機材に水をかけない、、
意識をちょっと変えるだけで、地元の音楽シーンが続くかも知れないよ。
ライブハウスが無くなる原因は様々です。
周りからの苦情だったり、お金的な理由で経営が難しくなったり、新たな法律ができてその対応が難しくなったり、建物が老朽化で建て壊しになったり。
でも、ちょっと意識を変えて、外で騒がなかったり、ドリンクを持ち込まなかったり、機材に水をかけなかったり。
いわゆる「当たり前」のルールを守る事で、寿命が延びます。
素晴らしい一日がまた産まれます。
僕たちにとって大切な場所を未来に残していく為に、そこに関わる全ての人がちょっと意識を変えていけたらいいなと切に願っています。
関連記事です。
だいぶ初期の頃に書いた記事ですが、ライブハウスが果たすべき使命は、存在し続ける事だと書いた記事です。
ライブハウスが続く為にも、1ドリンク制度は全ての人に理解して欲しいです。
僕の地元、熊本県玉名市の方言について書いた記事です。
続きはWebで。もしくは、地元のライブハウスで。