新しい事業を興して会社を作り社長になったら、お金も好きなだけもらえるし、休みも自由だし、自分が好きなことを仕事にできるし、もう起業するしかない!
…待ってください。
起業、そんなに甘くないですよ。(キッパリ)
2006年に施行された新会社法によって、資本金1円から株式会社が設立出来る様になりました。
(もちろん、設立にあたっての費用や初期投資はかかります。)
今や、やる気さえあれば誰でも会社を作れる時代です。
作るのは簡単になりましたが、維持するのはどれだけ難しいのでしょうか。
"起業生存率"、つまり"起業して◯年後に生き残ってる確率"は、ある調査によると
1年:40%
5年:15%
10年:6%
だそうです。
10年間潰れずに生き残ってる確率はなんと6%という世界。
100社あったら94社が潰れているということです。
決して簡単ではありません。
27歳で起業し、経営7年目のわたくし恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )は、
15%の狭き門をくぐり抜けたことになります。
15%といえば、7社のうち6社が潰れ、潰れなかった残り1社ということです。
そんな私が経験して来たことを元に、起業における5つのリスクを紹介したいと思います!
起業しようと考えてるアナタ、起業に興味のあるアナタ、
このリスクが取れますか?
起業はオススメできない
個人的な見解です。
個人的には「起業はオススメしません!」
この記事で一番伝えたい結論はこの一言に尽きます。
理由は、リスクが大きすぎるからです。
もちろんメリットも沢山あります。
しかし、これから起業しようとしている人に対して、そのリスクを背負ってまでメリットを享受できる可能性は高いと言えないからです。
冒頭に書いた通り、起業して5年後に生き残ってるのは7社中1社です。
残り6社は廃業し、事業を解体し、借金返済に追われ、人間関係も失ってる、、、、
「可能性」があります。
5年後に会社が潰れている確率は85%です。
50%以上じゃないものをオススメするとは口が裂けても言えません。
逆に言うと、僕が"オススメしない"という話を聞いてもなお起業するというくらいじゃないとダメだと思います。
経営者は孤独である
経営者は孤独です。
何故なら、その会社で唯一「雇っている」人間であるからです。
他の従業員は「雇われている」人間です。
この溝は、決して埋まりません。
これは私も、経営者になって初めて実感しました。
毎日同じ場所で仕事をしていても、立場が違います。
仕事に対しての責任が違います。
その悩みや苦しみは、決して他の従業員と共有することはできません。
経営者仲間を作ることができれば、あるある話に花が咲くかも知れません。
しかし経営者同士、取引や協業はすることはあっても、腹を割って悩みを話せる仲間を作ることは難しいです。
同業であればライバルである可能性が高いし、異業種であれば苦しみや状況を理解してもらえないからです。
経営者は、様々な問題にたった独りで立ち向かう必要があります。
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起業する前に考えるべき5つのリスク
それでは、起業する前に考えるべき5つのリスクを説明していきます。
1.責任は全て社長が取るリスク
今から書くこと全てに共通する事ですが、責任は全て社長が取るというリスクを背負います。
基本的に"独立"したら、バックや後ろ盾はありません。
全ての責任を自分で取らなければなりません。
会社を経営していくと、決断をすべき場面が必ず訪れます。
何度も何度も訪れます。
その決断が間違ってた場合、責任は社長であるアナタにあります。
例え、自分の知らないところで部下が失態を犯した場合も、責任は社長にあります。
家に住めなくなった話(実話)
実は、起業してすぐの頃、思うように売上が上がらず、そして借金の仕方やお金の回し方が下手だったのもあり、当時住んでいた家を引き払いました。
売上が上がってない今、どの経費を減らせるだろうと考えた結果、自分の家の家賃を削りました。
半年ほど、事務所の隣の部屋に住んでいました。
(今は倉庫になっています。)
一番辛かったのは毎日お風呂に入れないこと、そして洗濯物ができないことでした。
今となっては良い(?)思い出ですが、その半年間は辛かったです。
経営者としてそのくらいの責任を取るのは当然だ、と自分に言い聞かせる為にその行動を取った節もあります。
第一に考えるべきは自己保身ではなく、会社の存続だと私は考えます。
2.お金を支払わなければいけないリスク
起業しようとする人が思い浮かべる不安の一つに、
「売上が上がらなかったらどうしよう」というリスクがあると思います。
もちろん売上が上がらないことは心配すべきです。
ただ、売上がないと何がマズいか。
それは、「支払いができない」ことです。
そう、起業すると「何もしなくても支払いが発生する」リスクがあります。
雇われている間は、仕事に対しての経費と言えば、洋服の買い物や病院への通院費、美容室でのカット代等の費用など、全て"自分への"投資費用でした。
もしかしたら、売上不振の責任を取る、もしくは出来高制による"減給"はあったかもしれません。
例えば20万円もらえるはずが、15万円しかもらえなかった、という感じです。
会社を興した場合はそうではありません。
給料20万円がもらえないどころの話で済まない場合もあります。
給料をもらえない上に、あと100万円用意する必要があったりします。
売上があがらなかった場合、支払いが出来ない事例として4つあげます。
もちろんこれ以外にもあるんですが、わかりやすいものの例として4つを見ていきましょう。
2-1.給料が払えない
売上が無いと、働いてくれてる社員・アルバイトに給料が払えません。
後の項目でも書きますが、働いてくれる人あっての会社です。
最初は給料が少なくても、人望があればついてきてくれるかもしれませんが、それは長くは続きません。
給料をもらえないと、生きていけませんから。
極論を言えば、人を雇わなければ人件費はかかりませんが、一人でできる事業でわざわざ起業する必要はあるのか疑問です。
一人でできる場合は法人化せず、フリーランス(個人事業主)という道を選んだ方が良いかも知れません。
2-2.家賃が払えない
飲食店やサービス業をする場合は店舗を、その他の事業でも事務所や作業場が必要になってくると思います。
一部例外を除いて、毎月必ず家賃を払う必要があります。
家賃が払えないと、その場所を出ていかなければいけません。
もちろん引っ越しには手間もお金もかかりますし、そうコロコロ場所を変えられては、お客さんも従業員も困ります。
事業所が頻繁に変わる会社は、信用を得るのも難しくなるかも知れません。
家賃も、何もしなくても毎月必ずかかる経費です。
売上が少なかったから家賃も少なくしてくれる、そんな仏のような大家さんは滅多にいません。(たまにいるらしいですが)
地味に厄介なのが2月です。
2月は28日しかありません。
31日ある月に比べて3日間も少ないのです!
たった3日間と感じるかも知れません。
しかし31日ある月の1割である3日間少ないわけです。
営業日数が1割減なので、普通であれば売上も1割減です。
じゃあ家賃も1割減?
そうはいかないんです。
売上は1割減なのに家賃は通常通り支払わなければいけません。
2-3.借金が返せない
会社を経営する上で借金は必須だと考えています。
"借金が上手い社長は経営が上手い"と言われるくらいです。
借金自体は、悪いことではありません。
借金と言うから聞こえが悪いのかも知れません。
融資と言い換えたらイメージ変わるでしょうか?
日本政策金融公庫という、日本(財務省)が運営している機関はかなり安い利息で融資してくれます。(もちろん厳しい審査はありますが)
私たちが普段お金を預けてる銀行も、実はそのみんなが預けたお金を元手に会社に貸し付け、その利子で利益を上げています。
融資してもらったお金で「新しい設備を導入したり、人を雇い入れたりして、会社は大きくなり、その利益で返済する」というのが経済のサイクルです。
なので、融資を受け、事業を展開することを、日本は推奨しているので、これに乗らない手はありません。
起業しようとしている人、既に起業したけど融資を受けていない人は、是非融資を受けましょう。(ご利用は計画的に。)
しかし借りたものは必ず返す必要があります。
借りる際に決めた金額を、毎月必ず返済しなければなりません。
借金を返すために借金をしたり、挙げ句の果てに消費者金融に手を出してしまうと、歯止めが利かなくなり倒産に追い込まれるケースは多いです。
負のサイクルにハマってしまうと、なかなか抜け出せないので注意が必要です。
2-4.仕入れが出来ない
これは物を売る業種に限った話ですが、仕入れが出来ないと売るものがありません。
売るものがないと売上が上がらず、支払いができなくなります。
物を売るためには、先に売り物を買わないと売ることができませんので、仕入れが出来なくなることは悪循環の始まりになってしまうのです。
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3.法律を犯してしまうリスク
次に紹介するのは法律を犯してしまうリスクです。
わざと法律を犯す人はなかなかいないとは思いますが、知らぬ間に犯罪を犯してしまうパターンもあります。
会社の経営者は必ずしも法律の専門家ではありません。
しかし、その言い訳は通用しません。
知らなかった、では済まされません。
起きてしまってからでは遅いのです。
その決断の責任は、経営者であるアナタにあるのですから。
業務上過失
様々なパターンが考えられますが、業務をしていく上で起きてしまった事故も、経営者であるアナタの責任です。
例えば、建設現場などで足場が崩れ、最悪のケースとして従業員が死亡してしまった場合、業務上過失致死として、経営者が逮捕されます。
安全確保などを怠ったとして捕まるわけですが、どれだけ安全確保をしたとしても、事故が起きてしまう場合はあります。
飲食店でも、お客さんと従業員がケンカして怪我を負わせる、食中毒を出してしまうなど、予期せぬことは起きる可能性はいくらでもあります。
もちろんそういった事故が起きない様に万全を期す必要があるのですが、100%というものはないのでそのリスクはつきまといます。
著作権法違反
知らないうちに法律を犯してしまってるパターンは他にもあります。
著作権法違反は意識したことあるでしょうか?
例えばお店の宣伝用に芸能人の写真を加工して使い、その芸能人の所属事務所に訴えられてしまうような事例があります。
著作権法はすごく難しいです。
私たちの業界では、一緒に写真を撮ってSNSにあげる行為があまり抵抗無く行われています。
しかし、それが知らぬ間に法律を犯していて、訴えられて初めて知る、ということもあるかもしれません。
脱税
お金を支払わなければいけないリスクと、法律を犯してしまうリスクの、両方のカテゴリに入るリスクです。
税金を納めないことを脱税と呼びます。
これも意図的に行う人は居ないと思いますが、脱税は立派な犯罪です。
飲食業界、音楽業界は消費税に対しての認識が甘いように思えます。
お釣りが面倒だったり、スピードを重視するために、内税(消費税込みの値段)でやり取りすることが多いです。
脱税にならないように、売上から消費税分を抜き、別口座で保管するなどしないと、納税ができない恐れがあります。
税金に関しては書き出すと長くなるのでまた別の記事にしたいと思っています。
4.災害に遭ってしまうリスク
事故と同じく災害に遭ってしまうリスクもあります。
一番身近な災害は火事ですね。
火災保険が効けばいいですが、出火原因によっては利かない場合もありますし、復旧まで業務を停止する必要が出てくるでしょう。
その間は売上を作ることができないにも関わらず、給料や家賃などを払う必要がある可能性があります。
盗難という災害に遭ってしまう場合もあります。
借金までして買った高価な備品を盗まれることもあるかもしれません。
苦労して作った売上金を盗まれることもあるかもしれません。
犯人が無事に見つかり、盗まれたものが手元に返って来ればいいかもしれませんが、返ってこない場合もあります。
火事や盗難等の災害による損害も、経営者であるアナタが受け入れなければいけません。
5.人間関係が崩れてしまうリスク
最後になってしまいましたが、会社にとって一番大事なのは人間関係だと私は考えます。
会社を経営する上で一番難しいのは、お金でも時間でもなく、人間だと思います。
社員やアルバイト
会社は人が作ります。
うちの会社も、社員やアルバイトの従業員に支えられてここまで来れました。
決して僕一人の力ではありません。
うまくいかない時も、支えてくれるのは従業員です。
売上を上げる為にも、経費を下げる為にも、お客さんに満足して帰ってもらう為にも、全てに従業員が関わって来ます。
しかし、無条件で支えてくれるわけではありません。
有能な従業員が会社を去ってしまうこともあるかもしれません。
従業員と良好な関係を作るのも、社長の仕事の一つです。
逆に、期待に応えてくれない従業員も出てきます。
もしかしたら、クビにする決断も必要な時がくるかもしれせん。
使えない従業員はクビにすればいい!
と思うかもしれませんが、私はそう考えていません。
うまくいく場合もあるかもしれませんが、他の従業員のモチベーション低下に繋がる可能性もありますし、空いた穴を埋める人材がすぐ見つかるとも限りません。
今いるスタッフが、よりパフォーマンスを上げる様に、よりこの会社にいたいと思ってもらえる様に、考えて行動していかなければいけません。
従業員がうまく機能するようにしないと、従業員間のバランスも崩れてしまいますし、人件費の効率も上がりません。
友達・家族
起業する前からの友達や家族は、きっとアナタを応援してくれるでしょう。
お金に困った時に助けてくれるかも知れません。
しかし、"金の切れ目が縁の切れ目"という言葉があるように、些細なことで人間関係が崩れてしまうこともあります。
会社を大切にし過ぎて、友達や家族の大切なイベントに出席出来ないことも多いです。
友達や家族を失う可能性を孕んでまで、会社をやるべき理由があるのなら別ですが。
ちなみに、私は会社が一番大切です。
同業者
どれだけ仲良くしても、たまに手を組むことがあっても、同業者はライバルです。
ライバル同士が切磋琢磨することによって、業界が良くなっていくことは事実です。
しかし最終的には、それぞれが自分の会社を守る責任があります。
シェア争いに負けてしまえば、廃業せざるを得ない場合だってあります。
ライバルだからといって、交流を持つな、という意味ではありません。
むしろ同業者とは積極的に交流を持つべきです。
しかし本当にピンチになった時に、助けてくれるとは限りません。
最終的に、自社の身は自社で守るしかないのです。
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まとめ
今回の記事は長くなってしまいました。
リスクそんなにあるの!?と思った方もいるかも知れませんが、今回紹介したのはごく一部です。
今回は敢えて、起業するリスクの部分にクローズアップしてお送りしました。
もちろんですが、起業するメリットもたくさんあります。
そういう記事もまた別の機会に書きたいとは思っています。
最後に一つ付け加えます。
人間は"希望的観測"を描きがちです。
特に、起業しよう!という夢と希望に溢れてる人は、「これくらいお客さんが来てくれるだろう、これくらい売上が上がるだろう」と思い描きます。
「多分事故とか起きないし、法律とか詳しくないけど、多分大丈夫だろう」とたかをくくります。
計画を立てることは大事ですが、売上目標はまず達成しないものだと心得て下さい。
予期せぬ事態は予期せぬほど起きるものだと思って下さい。
それらは全て、僕が実感してますから。笑
ネット上や通説では、起業による良い部分だけが語られがちです。
それは何故か。
起業して成功した人は発言力・影響力があるからです。
廃業していく人のほとんどが、ひっそりと廃業していくからです。
起業をしようと思ってる人がいたら、一度この記事を読んで欲しいと思って書きました。
読んだ上で、そんなリスクなんて跳ね返してやる!という意気込みがあるのであれば、是非起業してください。
若者が起業して会社を作り、新しい時代を作り出して行くことは、日本の未来にとって素晴らしい事だと思います。
私の経営する会社も、まだまだ小さな会社です。
これから先もずっと続けれるように、日々邁進していきたいと思っております。
ふつつか者ではございますが、皆様のお力添えをどうかよろしくお願い致します。
関連記事です。
私が京都で会社を立ち上げ、ライブハウスを始めた理由です。
起業しない場合は、会社に属して給料をもらうと思います。
その時に意識して欲しいこと。
会社経営してても通販くらいします。笑
買って良かったものまとめ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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