「訪日外国人客が格安でライブハウスに遊びに来れる仕組みを作ると、もっと日本が良くなるんじゃないか?」
京都でライブハウスGROWLYを経営するわたくし恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )はこう考えました。
「日本と海外ではライブハウスという概念が違う。外国では、ライブハウスの入場チャージがもっと安いらしい。では外国人観光客が日本のライブハウスに来やすいシステムを作ってみよう!」
京都は日本有数の観光地。
それもそのはず、元首都ですからね。
古都を表すような名所が京都の街中に溢れています。
京都を訪れる外国人観光客は年々増えているそうです。
これは京都で会社を営む身として、何かやらなければいけない。
ということで、GROWLYは2018年4月から新しいサービスを導入しました。
この記事に辿り着いて、この記事を読むのは外国人では無いと仮定しています。
この記事は、日本のライブハウス、アーティスト、お客さんに向けて書いています。
このサービスに込めた想いと願いを。
外国人観光客向けのディスカウントサービス(DFT)を始めました
外国人観光客がライブハウスに割安で入場出来るシステム、
Discount for Foreign Tourist
を作りました。
頭文字をとって、DFTと呼ぶことにしました。
DFTの仕組み
わかりやすくする為に、「格安で入るための3ステップ」を作りました。
[格安で入るための3ステップ]
- GROWLYのwebサイトのスケジュールページにアクセスし、「DFTマーク」がついている日を見つけて下さい。
- GROWLYの入り口で、受付スタッフにパスポートを見せて下さい。このサービスは、日本に入国して1ヶ月以内の方が対象となります。
- ドリンク代込みで1100円(税込)を払って、あとは楽しむだけ!
DFTマークが表示されている日であること、入国して1ヶ月以内である証明ができることが、このサービスを受ける条件としました。
このシステムに該当するお客様はチャージが500円!にディスカウントされる仕組みです。
ドリンク代込みで1,100円です!
外国人向けにチラシを英語で作ってみました
GROWLYの元スタッフに、カナダ人と日本人のハーフの女の子がいました。
2年ほど前にGROWLYは退職したのですが、彼女に英訳を頼み、このサービスを知らせるフライヤー(チラシ)を作成しました。
ゲストハウスや観光案内所など、外国人観光客の目につく所に置きたいのですが、初めての試みなのでどこに置いたら良いか分かりません!笑
この記事を読んでピンと来た方、コチラまでご連絡下さい!
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外国人観光客向けのディスカウントサービスを始めた理由
京都という観光地に住んで早15年が経ちました。
京都の街中や飲食店では外国人観光客が多く、しかも年を追うごとに増加している様に感じます。
京都でサービス業をやる以上、インバウンド(訪日)の需要は切っても切れない関係となって来ました。
日本政府が外国人観光客の夜の遊び場を探している
日本に遊びに来た外国人観光客が、夜に遊びにいく場所が無くて困っているとのことです。
専門用語をちりばめて書くと、「インバウンドのナイトタイムエコノミーに注目せよ」という感じです。
参考記事はコチラ。
2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピック(東京オリパラ)に向けて、インバウンド需要は右肩上がりに拡大すると言われています。
実際に外国人が困っているかはわかりませんが、夜の遊び場に選択肢が広がるのは良いと思います。
ライブハウスは外国人観光客の夜の受け皿になり得る
京都という観光地だからというのも理由にあるかも知れませんが、
このサービスを始める前から、外国人観光客の方は時々GROWLYにいらっしゃってました。
どこでGROWLYの情報を見つけたのでしょうか。
今までGROWLYは外国人向けのHPやフライヤーを作っていませんでした。
繁華街にある訳でもないので、通りがかりでフラッと入ったとも考えにくいです。
恐らく、自らライブハウス情報を調べ、Google Maps等で辿り着いたのでしょう。
受け入れ態勢が整っている訳でもなく、こちらからアナウンスを一切していない状況でも来て頂けるということは、外国人観光客のライブハウスに対する潜在需要は大きいと考えました。
京都という観光地で営業している上、東京オリパラに向けて訪日外国人が増加している中、拡大するインバウンド需要を取り込むことは重要だと考えました。
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訪日外国人客がライブハウスに来たら日本が良くなる
訪日外国人客がライブハウスに来ることは、広くみれば日本の為だと思っています。
来れば来るほど、日本が良くなると思っています。
日本の文化に触れてもらう
日本には様々なナイトカルチャーが存在します。
今回割引を開始したライブハウスだけでなく、ナイトショーやマジックバー、そしてクラブなど、夜に遊ぶ場所は日本にも多く存在します。
しかしその多くがいわゆるサブカルであることから、大手企業が経営している場所は少ないです。
そのため、外国人観光客へのアナウンスが十分であるとは言いがたい現状があります。
メインカルチャーに対しての"サブカルチャー"ですからね。
寺社仏閣、舞妓、嵐山映画村などが「主役」だとすれば、ライブハウスは「脇役」です。
しかしそんなサブカルチャーほど、触れてみたい訪日外国人は多いのではないのでしょうか?
せっかく日本に来たのだから、テレビで見れない様な文化に触れてみたいと思う人は少なくないと思います。
実際のところ、音楽・映画・漫画等の「文化」は海外に人気がある分野です。
それらの文化を日本で直接触れることは、外国人にとって有意義な時間になるのではないでしょうか。
日本が外貨を獲得する
インバウンドのナイトタイムエコノミーが拡大することで日本が外貨を獲得することができます。
外国人観光客に夜の遊び場で夜の消費をしてもらうことで、日本の経済が豊かになるのです。
日本が日本だけで経済を回そうとすると限界があります。
古くから日本は輸出大国でした。
日本で作った製品・商品を海外へ輸出し、外貨を獲得し、経済大国に発展しました。
もちろん今も輸出はさかんに行われていますが、それに加えて最近はインバウンド消費による外貨獲得も重要になってきました。
訪日外国人のコト消費を促すことは、日本の経済をもっと良くすることに繋がり、日本の為になると考えます。
こう書くと、日本だけが得する様に思える様ですが、そうではありません。
日本の夜間の経済活動が活発化すると、外国人向けのサービスが充実し、外国人がより遊びやすい環境が整います。
今回のライブハウス割引に関しても、インバウンド需要の高まりを受けなければ、踏み切ることは無かったと思います。
日本のアーティストが海外へ向けてパフォーマンスをする意識を持ってもらう
これは、ライブハウスに出演するアーティストにとってもチャンスです。
自分達が発信する音楽・パフォーマンスを外国人にキャッチされる経験があると、ボーダレスに受け入れられる為にはどうしたら良いかという方向に意識を向ける事ができます。
アーティストもグローバル化を意識すべき時代だと思います。
日本は、世界的にみれば小さな島国です。
日本の人口も世界の約1.5%でしかありません。
もちろん日本で生まれ育ち日本で音楽をやる上で、日本人をターゲットにすることは間違いではありません。
しかし、世界という市場に目を向けることは、市場を拡大することに直結します。
音楽の販売方法も多様化している現在、販売チャネルを増やすことを意識していく必要があると考えています。
定額制配信サービス(ディスクリプション・ストリーミング配信)も、海外では主流となってきました。
販売チャネルを海外に増やすという点では、意識すべきだと思います。
気を遣った点
もちろん、このシステムを導入することで弊害が生じる可能性もあります。
割引システムを導入することによって、誰かが損する様な形になってしまってはいけないと思っています。
慎重になるべき点を考えました。
通常のチケット料金を払った人に不公平が無い様な仕組みにしたい
そもそもこのシステムを導入した背景には、「ライブハウスに来るお客さんを単純に増やしたい」という想いがあります。
しかしそのせいで、通常のチケット料金を払って入場した人が、不公平に感じる様では本末転倒です。
ですので、このサービスは「入国から一ヶ月以内」という制限を設けさせて頂きました。
入国から一ヶ月以内であれば、通常のチケット料金を払って入場するお客さんの層と被ることは無いと考えたからです。
適用されるイベントは制限することにしてます
GROWLYで行われる全てのイベントにこのサービスが適用される訳ではありません。
原則としては「GROWLY主催かつGROWLYが適用して良いと判断した日」に限らせて頂いてます。
チケットが売り切れてしまうソールドアウト公演、身内だけを招待したプライベートパーティーなど、様々なイベントがライブハウスでは行われます。
誰でも来て良いよ!という日ばかりではないのです。
そういった日には、このサービスが適用されないように、DFTマークが表記されてる日のみということにさせて頂きました。
もちろん、GROWLY主催以外でも、主催者がこのサービスを適用したいと考えるイベントは適用させて頂きますので、ご希望のイベント主催者は担当者にご一報お願いします。
外国人差別と捉えられるような表現にはしたくない
この点は気を遣わなくてはいけません。
しかし宗教や文化の違いを全て理解することは難しいです。
「入国から一ヶ月以内」のみの適用としたのは、外国人差別と捉えられるような表現にはしたくないという理由もあります。
見た目で判断するのを防ぐ為に、スタッフにパスポート確認を義務づけました。
訪日外国人客を「海外に在住していて、一時的に日本に来ている人」と定義する為です。
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まとめ
今回は2018年4月から導入した、訪日外国人向けの割引システムの導入と経緯をお知らせ致しました。
私は日本で生まれ育ったので、訪日外国人がどのような想いで日本を訪れ、どういったサービスが本当に喜ばれるかは正直分かりません。
しかし、こちらから門戸を開き、受け入れる体制があることを示してみれば、どう反応が返って来るかがわかります。
日本のライブハウスの文化は独特だとも聞きます。
日本のライブハウスは設備が充実しすぎているため、チケット代が高いと。
海外はドラムセットやPAシステムは全て出演者が持ち込む代わりに、チケット代が安いと。
もちろん、「そういう場所もある」ということだと思います。
そういう場所に慣れてる人を、日本のライブハウスから遠ざけない為に考えたシステムです。
このシステムを導入することで、プラスの波及効果が生まれることを期待しています。
導入当初は難しいかも知れません。
問題も起きるかも知れません。
その都度修正し、GROWLYを今まで以上に文化/表現を発信する場所として育てていけたらと思っています。
日本も、日本以外も幸せになるシステム。
世界平和を願っています。
このDFTについて、意見や指摘、またはこういう場所にフライヤー置いたら良いよ!という情報がありましたら、お気軽にコチラか、Twitter( @kyoopees )のDMなどで連絡頂けると嬉しいです。
海外の方へ音源を売る為には、ダウンロードやストリーミングサービスを利用することも必要不可欠だと考えています。
ライブハウスが果たすべき使命は、最終的にここに行き着くと思って書いた記事です。
海外からだけでなく県外からでも、二条に来たらこういう飲食店もあるので是非チェックして欲しいです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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