コロナの影響を受けた文化芸術活動団体などに最大2500万円!
ライブハウスなどの運営者も対象!これでライブハウスも心配ない!
そう持て囃された文化庁の補助金。
正式名称は「コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業」
通称は「ART for the future!」(以下、AFF)
AFFは本当にライブハウスを救うのでしょうか?
この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )京都でライブハウスGROWLYやスタジオAntonio、他にも飲食店などを経営する会社の代表を務めております。
第二次募集が9/6(月)に開始されている最中、申請すべく動いております。
AFFの募集要項の補助対象者にはっきりと「ライブハウス等の運営者」と書かれているからです。
ライブハウスの運営者として、これを見逃すわけにはいきません。
しかし疑問点も多いです。
そこで今回は、AFFは本当にライブハウスを救えるのか?
もしかしたら我々のような小規模ライブハウスは、AFFの対象外ではないのか?
と思ったので、ライブハウス経営者目線で、矛盾点などを記しておこうと思います。
ARTS for the future!のHP↓
ART for the future!の概要
詳しくはAFFのHPを見て欲しいんですが、ざっくりいうと
コロナによって仕事が無くなった文化芸術関係者(演者も裏方も)を、コロナに対応しながら新しい取り組みをしていったら、その経費を全額出すよ〜。売上はまるまる儲けにしていいよ〜。
という感じです。
主旨、内容共に最高ですよね。
私もこの補助金を受け取って、ライブハウスを維持するとともに、色んなアーティストや裏方に仕事を振りたいと思いました。
AFFの4つの疑問点
しかし実際申請しようとすると、そのハードルはかなり高いように感じました。
今回は主に4つを記載します。
1,最大2500万円は嘘
嘘、というのは誇張しました。ごめんなさい。
正確には嘘ではありません。
しかし補助金の上限には5段階の区分があります。
(AFFのHPより)
この画像にあるように、最大2500万円を受け取れるのは、1回あたりのイベント(AFFでは"取り組み"と呼ばれます)で170人以上の人員が従事するイベントです。
一応、従事人員数以外にも、団体の年間収入規模や年間延べ席数などでも、該当する場合は上の区分になります。
我々、街のライブハウス(通常キャパ300人以下)がどの区分に当てはまるか。
当然、一番下の区分。
最大600万円になります。
もちろん最大600万円が受け取れたとしたら、我々のような小さいライブハウスを運営する会社にとっては超大金です。助かります。
しかし、「最大2500万円!?最高やん!」と思うのは間違いということです。
正直、Ⅱ以上の区分に分類されるのは、大規模野外フェスを開催してるイベント制作会社くらいかなと思います。
いわゆる1000キャパ以上のホールでも、1日に従事する人数が50人を超えるところなんてないんじゃないかな、、、想像がつきません。
2,この期間(コロナ禍)に大きいイベントを開催できない
AFFはおそらく、Go toのように、
「コロナが落ち着いてきたから対策しながらでも大きいイベントやっていこうよ!」
という感じで出されたのだと思います。
しかしこの記事を書いてる2021年9月11日は緊急事態宣言中。
つい先日、京都も9月30日まで延長されました。
そんな中、大きいイベントを組む判断は、金銭的にもコロナ感染拡大の観点からも、リスクが大きすぎると考えます。
実際、愛知県の某フェスが叩かれましたが、制作段階ではコロナが落ち着いてることを想定していたのかもしれません。
現状、ライブハウス規模のイベントでも、出演キャンセルや時短によるタイムテーブル変更など、「せっかく組んだけど予定通り開催できない」ことを念頭に置きながらイベントを組む状態です。
不安が拭えない中、いくら補助金が出るといえど、大きいイベントを組む判断は僕には難しいです。
(そんな中、大きいイベントを開催してらっしゃる主催者を批判するものではありません!すごいと思います!)
3,現役プロを助ける仕組みで、未来のプロを支援するものではない
AFFは仕組み上、「コロナ前〜現在で、しっかりとしたギャラ(目安は1日15000円以上)を受け取って仕事してる技術スタッフ」を対象としています。
AFFは、音楽の仕事に従事して飯を食っている、いわゆるプロを支援するためのものだからです。
もちろん、どこかで区切りを設けないと無限に申請できちゃうから、というのはわかります。
しかし我々のような小さなライブハウスは、アルバイトに日当15000円も出せません。
フリーランスの音響や照明であればそれくらいはもらうのが妥当ですが、ライブハウス専属のスタッフだとそれは厳しいでしょう。
(単価は低いがその分日数が多く確保できるので生活できる)
※目安が1日15000円以上、と書かれてますが、それ以下だと申請が通らない、と決まったわけではありません。弊社はこれを下回りますが、申請しようと思ってます。
アーティストのギャラに関して、明確に15000円以上と書かれてるわけではないですが、やはりギャラを受け取って演奏するアーティストはある程度の知名度や演奏力がすでにあるプロであると言えます。
GROWLYでは主に学生を中心に、20代〜30代が多く出ているので、その大半にギャラを払っていません。
(もちろんギャラを払う公演もあります)
売上より経費の方が高いからです。
しかしそれでもライブして、ギャラがもらえるバンドになるバンドもいます。(ギャラをもらうことだけが成功だとは思いませんが)
もしその若いアーティストが対象でないとすれば、現役プロは救えても未来のプロを育成することに関しては、このAFFは担保できてないと言えるでしょう。
4,第二次募集の期間が短すぎる、遅すぎる
第一次募集は2021年4月26日から5月31日でした。
当初の予定では、第二次募集は6月30日から開始の予定でしたが、実際開始されたのは9月6日からでした。
2ヶ月以上も遅れて開始されました。
これは第一次募集の申請がかなり多く、その審査や対応に時間がかかったため、と書かれているので仕方ないかもしれません。
むしろその理由をちゃんと開示してる文化庁は素晴らしいなと思いました。
しかし開始された9月6日時点で、もう年内に大きいイベントを組むのは難しいです。
(開催日が2021年1月8日〜2021年12月31日のイベントが対象)
そして第二次募集の締め切りが9月17日。
期間が2週間もないのです。
土日は電話対応休まれてるので、実質10日間。
この間に問い合わせをしながら資料を集め、提出しなければいけません。
ちょっと短すぎます。
(事前に準備しておけと言われれば、その通りです!としか言えませんが)
まとめ
というわけで今回は「ARTS for the future!はライブハウスを救えるのか?4つの疑問点」という内容の記事でした。
実際調べながら、「これは我々のような小さなライブハウスを救わないのではないか?」と、申請を諦めようかなと思いました。
しかし、それでも申請しようと思っています。
文化庁はかなり柔軟に対応してくれると聞きます。
心配しすぎで、実際には上記4つもクリアできるかもしれません。
もしかしたら難なく補助金をもらえるかもしれません。
それでももし審査に落ちた場合は、このブログかYouTubeで文句をツラツラ言いたいと思います。笑
久々の記事になりましたが、このコロナ期間でもライブハウスは悪戦苦闘しながら続けています。
コロナが落ち着いたら色んな発信をしたいと思ってますが、それまでなんとか耐え抜こうと思います。
ARTS for the future。
文化が、未来につながると信じて。
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助成金/補助金は目まぐるしく変わります。1年前にまとめた記事です。
この頃はコロナがここまで長引くとは微塵も考えてなかったなぁ。
では、ライブハウスで会いましょう!